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こんにちはmioです。
この記事では発達障害のセルフチェックをすることができます。
※あくまでセルフチェックですので、しっかりと検査を受けたい方は病院受診をお勧めします。
世界基準のチェックリスト
日本の病院や保健センターで発達障害の診断を行う際の診断基準は2つ。
上記以外にも、さまざまな心理検査を行いますが最終的な診断基準は上記の2つとなります。
インターネットで「発達障害チェックリスト」と検索しても沢山の情報が出てきてしまい、混乱の原因となるため、実際に医師が使用しているものを参考にしましょう!
使用するならDSM-5
この記事ではDSM-5を用いたチェックリストを使用します。
理由は大まかに下記の2つ。
- ICD-10は情報が古く、疾患全般に関するもののため範囲が広く専門性が薄い
- DSM-5はアメリカ精神医学会が発表しており世界中に普及。加えて精神疾患に特化している
上記の理由からこのサイトで紹介するのはDSM-5の診断基準を紹介します。
セルフチェックの注意点
- 専門家へ相談: セルフチェックは自己評価であり、専門家の診断やアドバイスと置き換えることはできません。結果が気になる場合は、必ず専門家に相談しましょう。
- 客観的視点での評価: 自己評価に偏りが出ないよう、客観的な視点で自身の行動や特性を評価しましょう。
- 環境やストレスの影響を考慮: 発達障害の症状は、環境やストレスの影響を受ける場合があります。セルフチェックを行う際は、環境やストレスの要因を考慮してください。
- 継続的な観察: 一時的な気分や状況に左右されず、長期間にわたって自身の特性や行動を観察しましょう。
- 健康的な自己受容を促す: セルフチェックの結果が気になる場合でも、自己受容を促すことが重要です。発達障害がある場合でも、自己の価値を認め、自己肯定感を高めることが大切です。
上記の注意点を踏まえて、発達障害のセルフチェックを行うことが重要です。
注意欠如・多動症(ADHD)のチェックリスト
それではADHDのチェックリストを紹介します。
紹介するのは下記の3つ。
- DSM-5に記載されているものをそのまま紹介
- 少し分かりやすく噛み砕いたものを紹介
- 3歳・4歳・5歳の未就学児さん向けを紹介
ADHDの特性が現れ、気づかれやすくなる年齢としては3〜5歳頃からだと言われています。
DSM-5に記載されているものをそのまま紹介
DSM-5のADHD診断基準は、9つの不注意症候および9つの多動性・衝動性症候を含みます。
この基準による診断には、少なくとも1グループにおける6つ以上の症候が以下の条件を満たす必要があるとされています。【共通事項】
・しばしば6カ月以上認められる
・患児の発達水準から予測されるよりも著しい
・少なくとも2つ以上の状況(例,家庭および学校)でみられる
・12歳前に(少なくともいくつかの症状が)みられる
・家庭,学校,または職場での機能を妨げているまず重要なのは、この共通事項に全て当てはまるかどうかです。全てに当てはまった人のみ、この先へお進みください。
【不注意症状】
・細部に注意を払わない,または学業課題やその他の活動を行う際にケアレスミスをする
・学校での課題または遊びの最中に注意を維持することが困難である
・直接話しかけられても聴いていないように見える
・指示に従わず,課題を最後までやり遂げない
・課題や活動を順序立てることが困難である
・持続的な精神的努力の維持を要する課題に取り組むことを避ける,嫌う,または嫌々行う
・しばしば学校の課題または活動に必要な物を失くす
・容易に注意をそらされる
・日常生活でもの忘れが多い【多動性・衝動性症状】
・手足をそわそわと動かしたり,身をよじったりすることが多い
・教室内またはその他の場所で席を離れることが多い
・不適切な状況で走り回ったり高い所に登ったりすることがよくある
・静かに遊ぶことが困難である
・じっとしていることができず,エンジンで動かされているような行動を示すことが多い
・過度のおしゃべりが多い
・質問が終わる前に衝動的に答えを口走ることが多い
・順番を待てないことが多い
・他者の行為を遮ったり,邪魔をしたりすることが多い不注意優勢型と診断するには、6つ以上の【不注意症候】が必要です。
「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(原著:American Psychiatric Association)」より引用
多動性・衝動性優勢型と診断するには、6つ以上の【多動性・衝動性症候】が必要です。
混合型と診断するには、不注意と多動性・衝動性のそれぞれで6つ以上の症候が必要となります。
少し分かりやすくしたもの
【共通事項】
- 12歳まえに2つ以上の状況(学校、自宅、社会)で症状が観察される
- 少なくとも6ヶ月間、症状が持続している
- 家庭,学校,または職場などの日常生活に支障がある
- 他の精神障害、発達障害、薬物乱用とは症状が異なること
まず重要なのは、この共通事項に全て当てはまるかどうかです。全てに当てはまった人のみ、この先へお進みください。
【不注意症状】
- 忘れ物が多い
- 細部にわたる注意が難しい
- 課題を終える前に、次の課題や活動に取り組み始めることが多い
【多動性・衝動性症状】
- 落ち着きがなく、座っていることが難しい
- いつも何かに触れていたり、動いていたりする
- 相手の質問に答える前に、その質問を聞き終えることが難しい
- 直感的な行動が多い
- 待つことが難しい
3歳・4歳・5歳の未就学児さん向けを紹介
【注意力が続かない】
- 他の子どもよりも注意を払うことが難しい
- 何かをする途中で別のことに興味を持ち、すぐに切り替えることが多い
- 直前に伝えたこともスッカリ忘れてしまう
- ものをなくしてしまうことが多い
【落ち着いて座ることが難しい】
- 静かに座っていることができない
- 常に動いていたり、物に触ったりしている
【待つことが難しい】
- 順番を待つことが難しい
- じっとしているのが苦手
【集団生活になかなか適応できない】
- 友達とのトラブルが見られることがある
こちらも同様に以下の基準を満たす必要があります。
【共通事項】
- 症状が6歳未満で始まる
- 症状が6ヶ月以上続く
- 症状が日常生活や学校生活に影響を与える
- 他の精神障害、発達障害、薬物乱用とは症状が異なること
ADHDのよくある事例
ここではADHDの診断基準に関して、よくある事例を3つ紹介します。
- 自宅ではADHDの傾向が強いが、園や学校ではあまり出ていないようで、先生からは何も言われない
- または先生が、保護者から非難されることを恐れて無難な回答や良い報告だけをしている
- 子ども自身が"意図的"に問題行動を起こしている
それぞれ解説します。
自閉スペクトラム症(ASD)のチェックリスト
それでは自閉スペクトラム症のチェックリストを紹介します。
紹介するのは下記の2つ。
- DSM-5に記載されているものをそのまま紹介
- 未就学児さん向けを紹介
自閉スペクトラム症の特性の現れは早くて1歳ごろから傾向が見え始めます。
DSM-5に記載されているものをそのまま紹介
①複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(原著:American Psychiatric Association)」より引用
②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(常同的、反復的な身体の運動や会話、強いこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚過敏または鈍感など)
③発達早期から1,2の症状が存在していること
④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
⑤これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと
未就学児さん向けを紹介
【代表的な早期特性】
- 抱っこにこだわりがあり、気持ち悪いと背中をそらす
- 友達と遊ばずひとり遊びばかりしている
- 興味を持ったものをとことん追及する
学習障害(LD)のチェックリスト
それでは学習障害のチェックリストを紹介します。
紹介するのは下記の2つ。
- DSM-5に記載されているものをそのまま紹介
- 少し分かりやすく噛み砕いたものを紹介
学習障害の特性が現れ、気づかれやすい年齢は7歳、8歳、9歳頃だと言われています。
DSM-5に記載されているものをそのまま紹介
A. 学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状の少なくとも1 つが存在し、少なくとも6カ月間持続していることで明らかになる。
1. 不的確または速度が遅く、努力を要する読字(例: 単語を間違ってまたゆっくりとためらいがちに音読する、しばしば言葉を当てずっぽうに言う、言葉を発音することの困難さをもつ)
2. 読んでいるものの意味を理解することの困難さ(例: 文章を正確に読む場合があるが、読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解していないかもしれない)
3. 綴字の困難さ(例: 母音や子音を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりするかもしれない)
4. 書字表出の困難さ(例: 文章の中で複数の文法または句読点の間違いをする、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない)
5. 数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ
6. 数学的推論の困難さ(例: 定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である)B. 欠陥のある学業的技能は、その人の暦年齢に期待されるよりも、著明にかつ定量的に低く、学業または職業遂行能力、または日常生活活動に意味のある障害を引き起こしており、個別施行の標準化された到達尺度および総合的な臨床消化で確認されている。17 歳以上の人においては、確認された学習困難の経歴は標準化された評価の代わりにしてよいかもしれない。
C. 学習困難は学齢期に始まるが、欠陥のある学業的技能に対する要求が、その人の限られた能力を超えるまでは完全には明らかにはならないかもしれない(例:時間制限のある試験、厳しい締め切り期間内に長く複雑な報告書を読んだり書いたりすること、過度に重い学業的負荷)
D. 学習困難は知的能力障害群、非矯正視力または聴力、他の精神または神経疾患、心理社会的逆境、学業的指導に用いる言語の習熟度不足、または不適切な教育的指導によってはうまく説明されない。
DSM-5の診断基準を引用
少し分かりやすくしたもの
【学習の遅れや困難】
- 特定の学習領域(読み書き、話す聞く、算数、記憶、推論)のいづれかで明らかな遅れや困難がある
- 年齢や知的レベルに比べて、その領域での達成度が低い
【学習困難の継続】
- 学習の遅れや困難が続いている
- 他の同年齢の子どもよりも継続的に問題を抱えている
【他の要因の排除】
- 他の要因(例:知的障害、環境要因、不適切な教育、健康問題)が学習困難の主な原因ではないことが確認されている
【日常生活や学業に影響】
- 学習困難が日常生活や学業に明らかな影響を与えている
これらの基準を満たす場合、個人の学習困難は学習障害として診断される可能性があります。ただし、学習困難がどの程度の重症度や影響を持っているかは、詳細な評価と専門家の意見が必要です。
学習障害のよくある事例
学習障害児は日々の生活の中で沢山の悩みを抱えています。
下記では、その事例をいくつか紹介します。
- 読み書きの困難:クラスメイトたちよりも遅れていると感じ、毎日の宿題や読書タイムでストレスを感じています。友人はもうすぐ本を読み終えるのに対し、まだページをめくるのが精一杯で、劣等感を感じています。
- 話す聞くの困難:「勉強熱心ですごい賢いのに人見知りして全然話さないの本当にもったいないよね」と言われるたび、うまく話せないことに対するプレッシャーを感じています。
- 数学の理解の困難:数学の概念や計算方法、先生の説明を理解できず、テストの点数が低いことで、学業に対して自信を失っています。
- 社交場での孤立感:相手とのコミュニケーションに苦労し、グループ活動への苦手意識を感じています。このため、しばしば孤立し、友だちが少ないことに対しても悲しみや不安を感じています。
- 自尊心の低下:クラスでの成績が低く、周りと比較してしまい自分自身を劣っていると感じています。
これらの事例は、学習障害を持つ子どもたちが経験するさまざまな苦悩を示しています。彼らの苦悩を理解し、適切な支援を提供することが重要です。
まとめ
この記事ではDSM-5の診断基準に基づいたチェックリストを紹介しています。
セルフチェックを行うにあたっての注意点は、セルフチェックはあくまで自己評価であり正確な診断を行うものではなく、セルフチェックの結果に過度な依存をせず、専門家の意見を重視しましょう。
最後に
この記事は
- 発達障害をお持ちのお子様・その保護者様
- これから医療機関・連携機関の利用をご検討中の方
- 療育について勉強したい方
上記の方々へ向けて、お子様が社会に出るまでの一連の流れを分かりやすいよう、サイトマップにまとめています。